頭上の蝉の声が鳴き止み、いつしか虫の音に変わり、夏はひっそりと終わりを告げる。
頭上の蝉の声が鳴き止み、いつしか虫の音に変わり、夏はひっそりと終わりを告げる。
この町に来てから10年あまりが過ぎ、これがこの町で過ごす最後の夏となった。
平凡に、そして確実に時を刻みながら何度も通り過ぎていった季節。
その断片を記録として綴っていく。
一昨年だったか、アニメ「3月のライオン」を見たら、佃界隈を久しぶりに歩いてみたくなり、何度か訪れてみた。
佃小橋の上に最後に立ったのはおそらく10年以上前のこと。初めてこの光景を目にしたときには、青空をバックにそびえるリバーシティに違和感と少しの嫌悪感を覚えたように記憶している。こうしてそれなりに長い時を経て再訪してみると、そのときの第一印象はほとんど消え去り、代わりに抱いたのはある種の懐かしさだった。
時の流れとはそういうものなのか。
平日の昼下がりのこの界隈は本当に静かで、時が止まったかのようだった。
フルサイズ換算40mmのレンズでは、可能な限り引いて撮っても、水面への映り込みを含めたマンション群の全景は入らない。もちろん縦構図でも撮ったけれど、横構図が好きなのでこちらを掲載。