Go Hide Away – Introduction –

私がフリーランスであり、在宅で翻訳の仕事をしていると人に話すと、その反応はさまざまで興味深い。翻訳という職業に対する興味や関心の程度によって大きく変わってくるのはもちろんだけど、思わぬ反応が返ってくることもあるからだ。たとえば、「へぇー、でも私は家では仕事はしたくないなあ」という答え。意外な反応と書いたけど、実際のところ、家で仕事するのはイヤだという反応はけっこう多かったりする。

ちなみに在宅の仕事がイヤな理由は、とたずねてみると、テレビやネットの誘惑に負けそう、同僚がいないとさみしい、一人だとやる気が出ない、公私の区別が付かなくなりそう、といった答えが返ってくる。家庭の事情という理由ならまあ納得できるけど、こうした理由を挙げられると、あーそうかそう考えるものなのか、と愕然としてしまう。組織やグループ活動が苦手で、他人と机を並べて仕事をするなんてとうてい無理で、自分のやりたいことだけに没頭していたい私にとっては、自宅で一人で仕事をする方が精神的に楽だし、効率的でもある。好きで選んだ仕事だから、公私の区別とかなくてもかまわない。もちろん身分は不安定だし、納期にまつわる修羅場も多いけれど、自分にとってはかなり理想的な働き方だと思っているので、こういった返答には困惑してしまうのだ。

そんな性分の私にとって、自分の部屋はささやかな居住の場でもあり、手狭だけど落ち着ける仕事場でもあり、また他人から身を隠す空間でもある。いってみれば小さな隠れ家(hideaway)だ。

 

 

もちろん、仕事で部屋に籠もっているばかりではなく外出もする。体がなまるし、肩こりはひどくなるし、精神衛生上よろしくない。特によく晴れた日には、陽気に誘われるがまま出かけてしまったりする。とはいえ仕事の合間なので、たいていは近くを散歩したり、ジョギングしたり、川沿いをサイクリングしたりといった程度。もう少し余裕があるときなら、都心の知らないエリアを歩いてみたり、車で郊外へ出かけたりもする。さらに時間とお金に余裕があるときには海外を一人旅したりもするのだが、このブログではそれについては多くは触れないつもり。平日だから、どこに行ってもたいして混んでいない。つかの間だけど穏やかな時間を満喫できる。そうした息抜きは、フリーランスである私にとっての、いわば小さな逃避行(hide away)だ。

隠れ家と逃避行。この2つが、このブログのタイトル「Go Hide Away」の意味するところである。さらに1つ。自分の名前の一字が「ヒデ」なので、タイトルに同じ綴りの「Hide」を入れたかった。若干のこじつけ感は否めないけれど、このタイトルは気に入っている。

というわけで、このブログでは、私、英路(ヒデミチ)の小さな逃避行を中心に、フリーランス生活の由無し事や興味のあることをランダムに書き連ねていくつもりだ。

トップに戻る
テキストのコピーはできません。