前の記事では、DENONのX1600Hを購入したところまで書いた。
DENONのAVアンプを購入したら、いい音で聴きたいという欲求が高まってきた。当初は手持ちのスピーカー(D-SX7A)でしのごうと思っていたのだが、大きい音で聴けるようになって、音質への不満が生まれてきた。具体的には、高音の抜けが悪いところと、低音がこもり気味なところ。別に他のスピーカーと聞き比べたわけではないのだが、もう少しめりはりと解像感が欲しい。買い替えちゃおうか。でも予算に限りがあるし。アマゾンで検索してみると、手頃な価格のスピーカーがいくつも見つかるではないか。低価格帯とはいえ、一昔前より音質は顕著に向上しているらしい。そう聞いてしまうと、すぐにでも手に入れて鳴らしてみたくなった。いくつかの候補からDALIの SPEKTOR1とONKYOのD-112NFXに絞り込み、最終的にD-112NFXに決めた。理由は、現時点(2020年冬の時点)で2万円を切る価格で買えること。ハイレゾ対応であること。またONKYOは中高音の良さで定評があるし、これまでONKYOのコンポを使ってきたので親しみを覚えること、などだ。PayPayポイントとTポイントが使えて、アマゾンよりお得なヤフーのショップで購入。PayPayポイント+Tポイント4,000円付きで18000円ほどで買えてしまった。
届いた日。どんな音がするんだろうと期待しつつセットアップして音を鳴らしてみると、モノラルラジオを聴いているような音。正直がっかりしたが、この時点で評価するのは早計。とにかく100時間鳴らしてみることにする。するとエージングの効果だろうか、音はどんどんよくなっていった。古いONKYOのコンポSX7に付属のスピーカに比べたら、高音の抜けもずっとよくなったし、低音もクリアになった。しかし、不満な点もいくつかあった。
- 女性ボーカルが前面に出てこない。楽器の音に埋もれてしまいあまり目立たない。そのせいか、全体的にフラットに聞こえる。
2. 低音の迫力がやや物足りない。全体的に音にもう少し厚みが欲しい。
3. 前のスピーカーに比べて音場が狭く、指向性が強く感じられる。正面から少し外れると音が顕著に変わってしまう。
1つ目については、設置場所とスピーカーの配置に問題がありそうだ。他に置き場所がなくメタルラックに設置していたのだが、共振が発生してしまうらしい。そこで、スピーカーを直接置かず、ラック専用のボードを買ってきて下に敷き、さらにスピーカとの間にゴムシートや硬貨を挟んだりしてみたが、それでも再生中にボードやポールに触れると明らかな振動を感じる。根本的な解決にはなっていないようだ。部屋のレイアウトを見直すしかない。考えた末、デスクの上に置いていた丈夫なウォールナットのラックが使えると判断。レイアウトを工夫してこのラックをフロアに移動し、その上にスピーカーを設置した。さらに、これを機会にちゃんとしたインシュレーターを購入してスピーカーとボードの間に挟んでみた。効果はてきめん。驚くほど音が締まり、高音の透明感が増した。スピーカー自体のせいではなく、単純に設置が適切ではなかったのだ。スピーカーの間隔がぐっと広くなったのも効果的だったようだ。
2つ目の不満については、スピーカーの絶対的なサイズが小さいので仕方ないのかもしれない。もう少し大型のスピーカーにすればよかったかなあ。サブウーファーを設置すれば改善されるかもと思い、DENONのDSW-37を購入。あーお金がどんどんサイフから出ていくぞ。こうして沼にはまっていくのか。設置した当初は効果がはっきりとわからず、こんなもの? と少しがっかりしたけれど、よく聴き比べると、ウーファーがあるのとないのとでは低音の厚みがぜんぜん違うことがわかり、買って良かったと納得した。
これでかなり満足する音が鳴るようになったので、このセットアップで3か月くらい聴き続けた。エージングがさらに進んだのか、当初は不満だった低音も、サブウーファーの効果を除いても買った当初よりずいぶんと迫力が増してきた。それでも、上記の3つ目の不満、つまり音場の狭さが気になる。音の解像感は確かにとても高いし、特に高音の抜けの良さは心地よい。でも指向性が強く、音が直線的に耳に届く感じがする。臨場感がリスニングポジションにやや左右されすぎる気がする。また全体的な音の細さにも物足りなさを覚えてしまう。デスクトップオーディオ用ならいいのかもしれないが、8畳の居間に置いて、BGM的に音楽を流すには適していないのかもしれない。個性的と言われる海外メーカーの、もう少し大型のスピーカーなら自分のニーズを満たしてくれるのではないか。といっても、大きいスピーカーを買ったとしても、数年後、今住んでいる土地を売って団地かマンションに移り住んだら真価を発揮できなくなり、宝の持ち腐れになりそうだし。うーん、どうしよう。迷いつつも、新しいスピーカーを買う方向に心は傾きつつあった。
スピーカー編その2に続く。