およそ23年ぶりに実家に住むことになった。一昨年に実家の母が亡くなり(過去記事「天文台のある丘で」)、介護に尽力してくれた妹も実家を離れることになり、実家に住む人間がいなくなってしまった。まさか空き家にするわけにもいかないので、東京から地元に舞い戻ることにしたのだった。
首都圏の平凡な地方都市、過疎化と高齢化が進む住宅地区にある築40年を超える家である。東京で享受していた刺激や利便性はここでは得られない。引っ越した当初は長年の東京生活が名残惜しかった。遺品を整理したら土地を売ろう、2、3年以内には東京に戻ろう。そう思っていた。けれども、引っ越しから半年あまりが経ち、コロナ禍という未曾有の厄災を進行形で体験し、その終息の兆しも見えない状況では、その計画はもう少し先延ばしせざるを得なくなりそうだ。
引き換えに得られたメリットもあるにはある。まず家賃を払わなくてよくなったこと。これは大きい。そして、音楽を大きめの音量で楽しめるようになったこと。なにせここ数年はPC用の安いスピーカー(Sound Blasterの数千円のやつ)でしか音楽を聴いていなかったから。ONKYOのミニコンポ(FR-SX7)はあるにはあるが、購入したのは10年以上前で、CDプレーヤーもMDプレーヤー(!)も壊れて動かなくなってしまっている。マンション暮らしではどうせ小さい音しか出せないし、今さらミニコンポを買うというのも時代にそぐわない気がして、買い替える気にもならず置いてあるだけの状態だった。しかし、せっかく大きな音で聴ける環境に移ったのだから、新たにシステムを組んでみようか。
ONKYOのスピーカーはまだ生きているのでとりあえずそのまま使うことにして、まずはアンプを買うことに。いろいろ調べていくうちに、HEOSテクノロジーに引き付けられた。HEOS対応のアンプがあれば、音質が劣化するBluetoothからではなく、Wi-Fi経由でネットやPC上の音楽を高音質のまま伝送して再生できるという。最近のテクノロジーってすごい。というわけで、HEOS対応を謳っているMarantz M-CR612が第一候補に挙がった。でも予算的に少し厳しい。どうしようか決断しかねていた年の瀬、大晦日にAmazonをチェックしたら、次候補だったHEOS対応のAVアンプ、Denon AVR-X1600Hが年末大特価、大幅に値下げしているではないか。思わずポチってしまった。そして元日に無事届いた。配送員さんありがとう。
スピーカーの接続を含め、初期セットアップはさくさく進んだのだけど、テレビの音がスピーカーから鳴らないとか、カセットデッキの接続とか、PC上にある音楽へのアクセスに苦労したりして、時間を知らぬ間に使ってしまった。一番苦労したのが、PC上の音楽の再生。アンプ側のメニューで「ミュージックサーバー」を選択しても何も表示されない。アクセス権の問題だと思うが、どこをどういじればいいのか。肝心のDENONのマニュアルには何の説明もない。結局、ネットで見つけた記事を参考にWindows10のストリーミングオプション等を変更しところ、ようやくアンプからPCのメディアファイルにアクセスできるようになった。やれやれ。
これで、CD/DVDはもちろん、AmazonミュージックやSpotifyなどのストリーミングサービス、PC、USBメモリー、カセットデッキなど、現在利用できるほぼすべてのソースからアンプを経由してスピーカーで鳴らせるようになった。居間が一気に心地よい空間に変身した。というか、今までの音楽環境が貧しすぎたのだ。
そうそう、久しぶりに自分用の物置を整理していたら、若かりし頃に購入したLPを発見。懐かしい。これも久しぶりに聴いてみたいなあ、ということでレコードプレーヤーも購入しないと。あとは、せっかくAVアンプを買ったのでいずれはサラウンド環境を構築したい。まずはメインスピーカーを買い替えよう。
スピーカー編に続く。